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研究者をカネで囲い込む米軍にNO!

【戦争の無人化めざす米軍が日本の研究者をカネで囲い込む!】

9月8日(水)の朝日新聞朝刊に見逃せないスクープ記事が掲載!
貴重な取材報道ですので、まずはじっくりとお読みください。
(10日には続報が掲載予定。ご注目を) [転送・転載歓迎]

 ◆米軍の研究助成、増加~日本技術の軍事応用も視野
(朝日新聞 2010年9月8日/「科学面にようこそ」)
  https://aspara.asahi.com/blog/science/entry/BDH2k75jSg

日本の研究現場に米軍から提供される研究資金が近年、増加傾向にあり、研究への
直接助成や補助金付きコンテストへの参加募集など様々な形があるというもの。背
景には、世界の高度な民生技術を戦争の無人(ロボット)化などに応用しようと狙
う米軍の戦略が存在します。東京・六本木の米軍施設「赤坂プレスセンター」ビル
内に、陸、海、空軍の各研究開発事務所があり、数十人のスタッフが資金提供や情
報収集を担っていることも明らかにされています。

前半で取りあげられているのが、野波健蔵・千葉大学副学長(工学部教授)です。
08年3月以降、米国防総省や米軍などが主催・資金提供する軍事ロボットコンテス
トに参加した野波氏は、「学生はこうしたコンペでは燃える。動機付けとして非常
にいいと考えた」と語っています。彼は、今年の最終予選でベスト6に入り、11
月の豪州での本選への切符を手に入れたものの、「私の良心」を理由に本選参加は
取りやめたそうです。

しかし、野波氏の対応は極めて不可解です。驚くべきことに、「民生ロボットの研
究開発は平和目的に限る」とする画期的な『千葉大学ロボット憲章』[後掲]制定
(07年11月21日)を主導したのは当の野波氏でした。制定からわずか3~4ヶ月
後に彼は、インドでの軍事利用目的のコンテストに「参戦」し、憲章を自ら有名無
実化したのです。今回の本選不参加は遅きに失したものでしょう。野波氏は自ら説
明責任を果たすべきです。また、千葉大学はロボット憲章を守らせるための実効性
ある措置をとるべきです。

 ◇野波健蔵氏のプロフィールページ(千葉大学ウェブサイト)
  http://www.eng.chiba-u.ac.jp/outProfile.tsv?no=1111

◇野波健蔵氏のウェブサイト
  http://mec2.tm.chiba-u.jp/~nonami/indexJap.html

先日放映された「貧者の兵器とロボット兵器」【9月12日(日)16:30~18:00
NHK・BSハイビジョンで再放送】や『ロボット兵士の戦争』(P・W・シンガ
ー、NHK出版)に描かれた、無人戦争に傾斜する米軍の実態を見るとき、日本の
民生技術が軍事転用され、戦争犯罪に加担していくことを見過ごすわけにはいきま
せん。科学者・技術者の社会的責任が厳しく問われています。

記事は、日本の研究者が米軍の研究助成にすがる背景に、不安定な雇用形態や研究
費不足があることも指摘しています。貧困問題や科学技術政策と平和の問題が密接
に絡んでいます。加えて、米国等への民生技術の軍事転用に対して甘い対応をとっ
ている経済産業省の姿勢も改められるべきです。そして、日本の研究者をカネで囲
い込む米空軍「アジア宇宙航空研究開発事務所(AOARD)」などの撤退を要求
します。

………………………………………………………………………………………

◆千葉大学ロボット憲章
(知能ロボット技術の教育と研究開発に関する千葉大学憲章)

 http://www.chiba-u.ac.jp/others/topics/article2007/20071127.html

 2007年11月21日制定

最近のロボットの研究開発における進歩は著しく、産業用ロボットにおいて世界を
リードする我が国では、第3次産業のサービス分野までも含めた現実の日常生活の
なかで、「知能ロボット」が人間の身近な存在になろうとしている。

「知能ロボット」は、従来型の「ロボット」と異なり、自ら自己を律する自律制御
系技術が組み込まれたロボットである。自律制御系の究極の姿の1つは我々人間を
含む生物であるが、人類が創造したロボットの過去から現在、そして未来への進化
は、この究極の生物の機能を模倣し獲得していく歴史でもあろう。遠くない未来社
会においては、こうした生物の機能を部分的に有する、あるいは、一部生物の機能
をはるかに超える「知能ロボット」が出現してくることは想像に難くない。

一方、先端的な科学技術には常に光と影が存在し、人類を幸福にする反面、これら
の科学技術が悪用されると人類存亡の危機に直面することは、これまでの歴史が証
明している。現代社会において、先端的なロボットの研究開発に携わる者の責任は
極めて重大である。 千葉大学では、地球生態系の維持・保全を基底に据えて、人
間の尊厳、人類の福祉、恒久平和と繁栄、そして、安全安心な社会に資するロボッ
ト研究開発と教育をこそ率先して推進する立場から、ここに「千葉大学ロボット憲
章」(知能ロボット技術の教育と研究開発に関する千葉大学憲章)を制定する。

■第1条(倫理規定)
本ロボット憲章は、千葉大学におけるロボットの教育と研究開発に携わるすべての
者の倫理を規定する。

■第2条(民生目的)
千葉大学におけるロボット教育・研究開発者は、平和目的の民生用ロボットに関す
る教育・研究開発のみを行う。

■第3条(非倫理的利用防止)
千葉大学におけるロボット教育・研究開発者は、非倫理的・非合法的な利用を防止
する技術をロボットに組み込むこととする。

■第4条(教育・研究開発者の貢献)
千葉大学におけるロボット教育・研究開発者は、アシモフのロボット工学三原則
(注)ばかりでなく、本憲章のすべての条項を遵守しなければならない。

■第5条(永久的遵守)
千葉大学におけるロボット教育・研究開発者は、大学を離れてもこの憲章の精神を
守り尊重することを誓う。

 ……………・…………・…………・…………・…………・…………

(注)ロボットのあるべき姿を規定したアイザック・アシモフのロボット工学三原
則は、次の通りである。

◇第一条
ロボットは人間に危害を加えてはならない。
また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
◇第二条
ロボットは人間から与えられた命令に服従しなければならない。
ただし、与えられた命令が、第一条に反する場合は、この限りではない。
◇第三条
ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのない限り、自己を守らなけ
ればならない。

…………………………………………………………………………………………

【参照記事】

「ロボットは平和のために」千葉大が『憲章』制定

          <東京新聞(千葉版) 2007年12月16日>

 近い将来、人間を超える自律制御能力を持つロボットの出現が予想される中、千
葉大(千葉市稲毛区)が、ロボット研究者の倫理を規定した「千葉大学ロボット憲
章」を制定した。ロボット研究を平和利用に限定する内容。世界の研究機関にも例
がない試みといい、宮崎清副学長は「科学技術には光と影がある。影の部分には加
担しないという姿勢を内外に示していきたい」と意気込んでいる。
 憲章の原案作りの中心になったのは、米航空宇宙局(NASA)で研究経験もあ
る野波健蔵教授(58)=人工システム科学。法学部の教員らも参加して学内で推敲
(すいこう)を重ね、先月二十一日に役員会で承認された。全五条からなり、第二
条で「千葉大のロボット研究者は平和目的の研究開発のみを行う」と宣言。第四条
で、SF作家の故アイザック・アシモフ氏が提唱し、ロボットは人間に危害を加え
てはならないなどと定めた「ロボット工学三原則」を守る規定も盛り込んだ。ロボ
ット研究に携わる留学生も多いことから、第五条で、千葉大を離れても憲章の精神
を尊重するよう求めている。

 憲章の目玉である「平和目的」のくだり。実は原案作成の際、若干の議論になっ
た。諸外国ではロボット研究に多額の軍事予算が投入されるケースが多く、このよ
うな憲章は前例がない。千葉大でも「平和利用と軍事利用を線引きできるのか」
「産学共同研究に支障が出るのでは」といった疑問が出されたという。

 確かに、IC(集積回路)などの半導体技術がミサイルにも使われているように、
「平和」と「軍事」の線引きは難しい面もあるが、IC自体が軍事目的で開発され
たわけではない。最終的には「(憲章が)研究の手足を縛るものではない」との合
意に至った。野波教授は「ロボットの平和利用について、日本が世界をリードすれ
ばいい。また、憲章をきっかけに一人一人の研究者や学生が議論を深めていければ」
と期待する。
 現在、英文の憲章も作成中だ。海外の研究機関と共同研究する際などに、憲章に
従うよう求めていく考えという。

<千葉大学ロボット憲章> (略)

<メモ>アシモフのロボット工学3原則 旧ソ連出身で米国の作家アイザック・ア
シモフ氏(1920-92年)が、SF連作「われはロボット」(50年)で提唱したロ
ボット開発の基本概念。第1条は「ロボットは人間に危害を加えてはならない。ま
た危害を加えられるのを看過してはならない」。第2条は「ロボットは第1条に反
しない限り人間の命令に服従しなければならない」。第3条は「ロボットは第1、
2条に反しない限り自己を守らなければならない」。

by nonukusandmd | 2010-09-10 00:28 | ミサイル防衛・軍需産業の動き
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「ミサイル防衛(MD)」や「軍産複合体」の終焉をめざして、動向をウォッチ、反対の声を発信します。在日米軍・日米安保やイスラエル・パレスチナ、チェチェン関連などの動きも一部カバーしています。


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