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福士都議がミサイル訓練で文書質問

東京都議会議員の福士敬子さんが、第2回都議会定例会でミサイル防衛
(MD)用PAC3ミサイル部隊の移動展開訓練に関する文書質問を6月14日
に提出されましたのでご紹介します。東京都からの回答は次回9月議会の
前に出される予定です。

 <福士敬子(ふくし・よしこ)さんホームページ>
 http://www.asahi-net.or.jp/~pq2y-fks/

4月末の新宿御苑での移動展開訓練では、航空自衛隊第1高射群第4高射隊
(埼玉県入間基地)の車両15両、隊員55人が参加し、発射機2基(PAC
3、PAC2の模擬ミサイル)、無線中継装置、射撃管制装置、レーダー
装置、衛星通信装置、指揮車、待機車などのフル装備を展開。地上の光フ
ァイバーを使用する「リモートランチ端末」という空自独自の通信補助装
置(市街地展開時の周辺環境による無線の障害をカバー)も持ち込まれま
した(『航空情報』2010年7月、能勢伸之「弾道ミサイル防衛」No.44)。

車両群は新宿御苑正門から苑内に侵入、バラ園の横を抜けイギリス式庭園
前広場で各装置を展開。岩崎航空総隊司令官らが訓練を視察したそうです。

1高群のPAC3 新宿御苑で初の訓練 夜の都心へ機動展開(朝雲ニュース)
http://www.asagumo-news.com/news/201004/100429/10042902.htm

東京・新宿御苑でPAC3の機動展開訓練(毎日新聞、4月26日)
http://mainichi.jp/select/wadai/graph/pac3/

なお、発売中の『DAYS JAPAN』2010年7月号のトピックス欄に、ロイター
通信の中尾由里子さん撮影の「新宿御苑でミサイル訓練」という写真が大
きく掲載されています。「日本各地への配備が進められているが、市民に
はその全貌は隠されたままだ」と書かれています。

 <DAYS JAPAN>
 http://www.daysjapan.net/

こうした軍事訓練は今後、都立公園や中部・阪神地区、北九州地区でも実
施される可能性があります。東京都や政府(防衛省)等の姿勢を更に追及
し、訓練拡大を食い止める必要があります。【転送・転載歓迎】

……………………………………………………………………………………

2010年 第2回都議会定例会

              文書質問

                      自治市民'93 福士敬子

ミサイル防衛(MD)用PAC3ミサイル部隊の移動展開訓練について

 航空自衛隊は2010年4月25日午後9時前から26日未明にかけて、東京都新
宿区(一部渋谷区)の新宿御苑において、弾道ミサイルを迎撃するとされ
る地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)の移動展開訓練を実施した。
沖縄での米軍基地県内移設反対の県民大会にぶつける形での実施には、マ
スメディアの扱いをより小さなものにしようとする意図があるとしか考え
られない。

 約2年前の2008年1月14日深夜に同じく新宿御苑で行われた訓練は、電波
・通信状況の調査に限られアンテナ車のみが配備されたが、今回は模擬ミ
サイル(長さ約10メートルで直径約25センチ)や発射機を含むフル装備が
持ち込まれ、実戦を明確に意識した訓練となった。新宿御苑は環境省が所
管するため、省庁間協力の一環として防衛省の使用を許可された。防衛省
は東京都庁、新宿区に事前通知したものの、都や区から住民への情報提供
は禁じたと報じられている(4月26日付「東京新聞」)。

 都民の憩いの場にミサイル兵器が持ち込まれ、自衛隊が車輌20台近くを
動員し、実戦を想定した軍事訓練が都民への情報封鎖の中で秘密裏に行わ
れた。MD自体が北東アジアの軍事的緊張を高めるものであるばかりか、
「成功」とされる実験も実戦とはかけ離れた条件で行われたものに過ぎず、
初期配備に投じられた8,500億円もの巨費に見合う費用対効果があるのか
の疑念も尽きない。

 都民の生命と安全に責任を負うべき行政機関である東京都は、都民生活
に重大な影響を及ぼしかねない軍事訓練の既成事実化を追認するのではな
く、問題点を検証し、都民への説明責任を果たし、防衛省に訓練の中止を
要請すべきと考える。以上の立場から文書質問を行う。

 なお、前回の文書質問に対する2007年11月末の都による回答では、「適
切に判断します」という状況が理解できない文言が多用された。今回の回
答に際しては、このあいまいな文言を使用することなく、具体的な判断基
準を示されるよう要望しておく。

1.今回、事前に防衛省から東京都に訓練実施が通知されたと報じられてい
る。いつ、どのような形で、どのような内容の事前通知が行われたのかを
明らかにされたい。そのことに関連して防衛省から都に出向している職員
がいるのか。それは何人か。都の配属部署と役職名の内訳も明らかにせよ。

2.フル装備を持ち込んだ訓練は周辺住民にパニック(戦時との勘違いなど)
反応を引き起こす恐れもある。新聞報道では、防衛省が都や区から住民へ
の情報提供を禁じたとされているが事実か。また、事実とすれば都として
それに抗議し、住民への情報提供を行うべきだったと考えるが、実際に都
はどのような対応をとったのか。

3.今回の移動展開訓練の際、その実態を把握するため都として現場に立ち
会ったのか。どのような状況だったのか。その理由も含めて明らかにされ
たい。また、防衛省から都に訓練についての事後報告はあったのか。なか
った場合、都として報告を要請すべきと考えるがどうか。

4.新宿御苑での前回訓練に関する市民による東京都への要請行動(2008年
1月15日)の際、都庁総合防災部国民保護担当の副参事(当時)は、「調
査」であり「訓練」ではない、との解釈を披瀝した。今回はフル装備を持
ち込んでの実戦訓練であり、そうした論理はもはや通用しない。都民の憩
いの場で兵器を持ち込んだ実戦訓練が行われることを東京都としてどのよ
うに考えているのか。

5.前回の文書質問中、展開訓練が都市公園法第1条や都立公園条例第16条に
抵触するとの質問に対して、都は「具体的内容が不明」であることを都立
公園使用の可否の判断ができない理由としていた。今回の実戦訓練により、
具体的内容は明らかになった。改めて、都立公園での軍事訓練は都市公園
法や都立公園条例に違反すると考えるが、都の見解を明らかにされたい。

6.前回の文書質問では、防衛省から都立公園の使用要請があった場合は、
「その時点で具体的な内容を見た上で、適切に判断します」との回答だっ
た。「適切に判断」する基準はどのようなものか。具体的に明らかにされ
たい。

7.2009年4月、当時の麻生政権がMDの実戦態勢を発動し、PAC3を市
ヶ谷の防衛省グラウンドと朝霞基地に展開させ、朝霞基地では住民に知ら
せることなくレーダーの運用訓練が行われた。レーダー波の影響や爆風の
防護柵の能力などに関して、都として防衛省に明確な説明を求めるべきと
考える。防衛省から都に対して事前説明などは行われたのか。また、都と
して事後に防衛省に対して報告・説明を求めたのか。今後求める意思はな
いか。また、レーダー波や爆風の人体影響についても明らかにされたい。

8.2009年3月、秋田県でPAC3の展開で機材を搭載した車両が野球場に
迷い込み、施設を破壊する事故を起こした。都道や都立公園など、都が管
理する施設が移動展開によって破損した場合、どのような補償をするかに
ついての防衛省との協議は行われているのか。いないとすれば、今後それ
を求めるつもりはあるのか。

以上

by nonukusandmd | 2010-06-23 21:27 | 活動記録
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「ミサイル防衛(MD)」や「軍産複合体」の終焉をめざして、動向をウォッチ、反対の声を発信します。在日米軍・日米安保やイスラエル・パレスチナ、チェチェン関連などの動きも一部カバーしています。


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