2010年 06月 16日 ( 2 )


【緊急】無駄遣いの「月探査」計画に意見を(17日締切)

現在、政府の宇宙開発戦略本部(本部長:菅直人首相)が「月探査に関す
る懇談会」がまとめた報告書(案)である「我が国の月探査戦略~世界を
リードするロボット月探査と有人宇宙活動への技術基盤構築」について、
【一般からの意見募集】を受け付けています。ただ、気づくのが大幅に遅
れたため、【6月17日(木)必着の締切】まで約1日しか時間がありません。

 「月探査に関する懇談会 報告書(案)に対する意見、及び「ロボット
 月探査の計画の愛称」の募集について(宇宙開発戦略本部)
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/utyuu/tukitansa/bosyu.html

 月探査に関する懇談会 報告書(案)
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/utyuu/tukitansa/houkokuan.pdf

報告書(案)は、2020年に月の南極域に世界で初めてロボットにより探査
基地を構築し、内部構造探査・周辺探査・岩石採取・サンプルリターン
(採取物質を地球に持ち帰る)を行うことを目標としたうえで、目標の5
年前の2015年に軟着陸とロボットによる予備探査を実施するとしています。

資金規模は、月探査については2015年頃までに約600~700億円、2020年頃
までには累計約2000億円と試算、さらに有人宇宙活動への技術基盤構築に
は2020年頃までに約900億円、その後の実機規模の研究開発のための第2ス
テップには、数千億円規模を要するとの試算を示しています。

報告書(案)は、「明日への希望と未来を切り開く宇宙というフロンティ
アに日本が技術、科学の持てる総力を結集してチャレンジする月探査は、
そのこと自体大きな技術力の獲得、科学的知見の獲得に貢献し、世界にお
ける日本の地位や交渉力の向上をもたらす」「さらに、宇宙開発以外の他
の分野をも巻き込んで地上の技術イノベーションにつながることが期待で
きるものであり、次世代の子どもや若者に大きな感動を呼び起こし、日本
の活力を高め、新たな文化を創造するものである」(1.はじめに)と、月
探査に最大級の賛辞を与えています。

しかし、その背後には資源獲得の狙いや関連企業の利権が存在しているの
ではないでしょうか。巨額の血税をつぎ込む価値が本当にあるのかかどう
かが、開かれた議論の中で十分に吟味されなければいけません。私自身は
月探査には反対です。そんなことに税金をつぎ込む余裕はないと思います。
それでも月探査の必要を主張するのなら、少なくとも日本が批准していな
い「月協定」をまずは批准することが最低限の前提でしょう。

短いメッセージでも構いませんので、可能な方は大至急、宇宙開発戦略本
部に意見を届けてくださるよう呼びかけます。

【6月17日(木)必着】

◆意見送付先 →(メール) i.space@cas.go.jp (宇宙開発戦略本部事務局)
        
(FAX) 03-3505-5971
       
[注]「記入要領」によれば、メール・FAXとも件名(題名)に
  「月探査に関する懇談会報告書(案)に対する意見」と記入。
  氏名、職業、住所、性別、TEL、FAX(あれば)を記入。
  意見はその項目毎に、報告書案の該当ページ、項目番号を明示とのこと。


【関連資料】

▼講演録「宇宙的視野から核兵器廃絶の展望を考える」より
(『世界』2010年6月号、藤岡惇・田中利幸 訳)=ぜひ全文のご一読を。

ブルース・ギャグノン
(宇宙への兵器と原子力の配備に反対するグローバル・ネットワーク)

「全米宇宙軍司令部が『宇宙の利用』と言うとき、宇宙を兵器の発射台と
して利用することだけを考えているのではありません。月・火星・小惑星
には貴重な鉱物資源が埋蔵されていることを科学者はすでに発見していま
す。埋蔵地への移動空間に軍事ハイウェイを設け、航空宇宙企業が鉱物資
源を採掘・運送できるように計らうことが、宇宙軍司令部の将来の任務の
一つとなるでしょう。日本を含め多くの国々が月に基地を設置することに
関心を示していますが、その理由の一つは、月面にはヘリウム3という鉱
物資源が豊富にあるからです。核融合原子炉が完成した暁には、ヘリウム
3は理想的な燃料になると科学者たちは考えています。宇宙の平和的かつ
協調的な利用システムについて、あらかじめ国際的に合意しておかないと、
月や惑星の埋蔵資源を獲得するための競争がまきおこり、国際紛争を引き
起こす新たな種となるでしょう。」(255~256ページ)

▼『宇宙開発戦争~ミサイル防衛と宇宙ビジネスの最前線』より
(ヘレン・カルディコット、クレイグ・アイゼンドラス著、植田那美・
 益岡賢 訳、作品社、09年)

「月協定は、すべての天体におけるあらゆる軍事行動――基地の建設や兵
器実験、大量破壊兵器を軌道上に乗せることなど――を禁止している。ま
た、月協定は、月やその他の天体に対するあらゆる主権の主張を禁じてい
る。月協定の第11条では、『月の表面または地下、これらの一部または本
来の場所にある天然資源は、国家や政府間国際機関、非政府間国際機関、
国家機関、非政府団体、自然人の所有権のもとに置かれることはない』こ
とが定められている。月協定には、月およびその他の天体の天然資源の開
発は国際的な体制のもとで運営し、資源はすべての条約加盟国で共有する
という規定もある。」

「月協定は、1967年に制定された宇宙条約の論理的な拡張であり、宇宙条
約の規定が多く盛り込まれているが、米国やロシア、中国、英国をはじめ
世界の大半の国が月協定を批准していない。」

「…各国が月協定に調印しなかったことで野放しになっている経済開発へ
の誘惑に世界中が飛びつく恐れがある。ちょうど、金や香料などの商業的
利益が、コロンブスやマゼラン、そしてその後に続く新世界の植民地化を
そそのかしてきたように。」
(以上、52ページ)

▼月協定(日本語訳)

JAXA(宇宙航空研究開発機構)ウェブサイト内「世界の宇宙法」ページ
http://stage.tksc.jaxa.jp/spacelaw/index.html より入手可能。
(左側の「国際宇宙法」の「国連宇宙諸条約」をクリック)

【後記】
意見募集(パブリックコメント)の結果について(宇宙開発戦略本部/2010年7月29日)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/utyuu/tukitansa/100730pubcomme.pdf
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by nonukusandmd | 2010-06-16 22:12 | アクションの呼びかけ

NHK「視点・論点」での伊藤和子さんの発言

ヒューマンライツ・ナウ事務局長の伊藤和子さんの発言をご紹介します。

………………………………… 以下、転送 ……………………………………

6月10日、ヒューマンライツ・ナウ事務局長 伊藤和子がNHK「視点・論
点」に出演して「ガザの人道危機と国際社会の役割」について10分間発言
しました。

その際の発言を掲載させていただき、ご報告に代えさせていただきます。

      ヒューマンライツ・ナウ事務局

===========================================

「ガザの人道危機と国際社会の役割」     伊藤和子

 NPO法人ヒューマンライツ・ナウは、日本を本拠とする国際人権NG
Oとして、弁護士、研究者、ジャーナリストなどを中心に、国境を越えて
世界、特にアジア地域の深刻な人権侵害の調査、人権問題解決のための国
連や各国政府への働きかけ、法的支援などの活動を展開しています。世界
に目を向けるといまも深刻な人権侵害があり、もっとも弱い立場の人たち
が犠牲にあっています。私たちがアジア諸国と並んで注目する地域が、罪
もない市民が次々と犠牲になっている紛争地での人権問題です。中東パレ
スチナでは、長期化する中東紛争のもと、市民が犠牲となる人権侵害が後
を絶ちません。

 5月31日早朝、イスラエル海軍が中東パレスチナ、ガザ地区に向かって
いた民間の6隻(せき)の船を公海上で拿捕し、攻撃する事件が発生しまし
た。この結果、少なくとも9人の民間人が死亡し、約30人の負傷者が出た
ことが明らかになっています。この民間の船は、イスラエルが封鎖を継続
しているパレスチナ・ガザ地区に人道支援物資を届けるためにガザに向か
っていたもので、外国人やパレスチナ人など、たくさんの民間人が乗船し
ていました。

 ガザ地区は、地中海に面する狭い地域に、約150万人のパレスチナ人が
暮らしており、1967年の第三次中東戦争以降、イスラエルによる軍事占領
が続いています。この年、国連安全保障理事会決議242号は、イスラエル
が占領したガザ地区、西岸地区からの即時撤退を求めましたが、イスラエ
ルはこれに従わないまま、占領を継続してきました。
 2005年には、イスラエル軍がガザ地区から一方的に撤退しましたが、国
境、海、空からのコントロールは続いています。2007年以降、イスラエル
はガザ地区を経済封鎖し、これによって、ガザの人々は、食料、医療用品、
教育用品、建築資材などを手に入れることが著しく制限されています。す
でに三年以上にわたるこの封鎖政策によって、人々は困窮し、極度の人道
危機状態に陥っています。

 電気や燃料がなく暗い中で震える栄養不良の子どもたち、燃料や材料が
ないため、工場が動かず、生活の道を断たれた人たち、イスラエルに破壊
された工場や家を建て直すこともできない人々、ガザの市民の9割が貧困
ライン以下の生活を余儀なくされ、彼らは未来への道を断たれています。
このような封鎖は国際人道法に反するものであり、国際社会は繰り返し封
鎖の解除をイスラエルに求めてきましたが、イスラエルはこうした声を無
視して封鎖を継続し、人々の生活を窒息させています。
 そうした苦境にあるガザの住民に海から人道支援物資を届けようとした
市民の支援活動が、今回イスラエル軍の攻撃にさらされ、死傷者まで生ま
れてしまったのです。海からの援助の道が閉ざされれば、ガザ地区の人々
の状況は益々深刻なものとなるでしょう。

 今回犠牲となった人々の遺体の検視結果や証言から、イスラエル軍が船
に乗っていた民間人に大量の銃弾を浴びせる攻撃をし、殺害をしたことが
明らかになってきました。戦闘行為に参加していない民間人に、軍が攻撃
をして殺害することは、国際法の重大な違反です。イスラエルは乗船者か
ら棍棒などでの抵抗があったとして正当防衛だと主張していますが、仮に
抵抗があったとしても実弾を民間人に打ち込んで殺害するのは正当防衛と
して過剰と言わざるを得ないと思います。イスラエル政府は、テロリスト
が船に乗っていた疑いがある、という主張をしています。しかし、単なる
「疑い」を根拠として民間人を戦闘員と同様に扱い、攻撃するやり方は、
国際人道法の原則を曖昧にするものです。
 また、ジュネーブ第四条約23条によれば、占領国は、被占領地の住民に
対する人道支援物資の通過を許可する義務があります。人道支援物資の搬
入を妨害した今回のイスラエルの行為はこのジュネーブ条約上の義務に違
反しています。

 イスラエル側と被害者側の言い分が対立するなか、真相を究明しようと
いう動きが国際社会であがっています。
 国連では、安保理が6月1日、今回の事態について国際基準に基づく公平
な調査を求める議長声明を発表しました。国連の主要な人権機関である人
権理事会は6月2日、事態の真相解明のために、国際独立調査団を派遣する
ことを決議しました。ところが、イスラエルは国際調査を拒否する姿勢を
示し、自分たちで独自に調査を行うと宣言し、アメリカもこれを支持して
います。しかし、一方当事者であるイスラエルが身内で調査を行っても、
独立性、客観性が確保できるかは疑問です。

 2008年12月から2009年1月にかけて、ガザ地区では、イスラエルの大規
模な軍事行動が行われました。1400名の人々が命を奪われ、その多くは女
性や子どもなど民間人でした。しかし、多くの人々の命を奪ったこの軍事
行動についても、責任が問われないまま今日に至っています。この紛争に
ついては、国連が独立調査団をガザに派遣して調査をした結果、イスラエ
ル、パレスチナ武装組織双方に戦争犯罪行為があった可能性が極めて高い、
として、両当事者に国際基準に基づく調査の実施を求める勧告をしました。
しかし、イスラエルはガザの現地に行って被害者の話を聞くことを一切し
ないまま、戦争犯罪はまったくなかった、という報告書を提出しただけで、
真相究明は遅々として進みません。

 分離壁の建設、入植、そして民間人の攻撃、いずれも国際人権法・人道
法に違反する行為が占領下のパレスチナで行われ、国際法が無視され続け
てきました。どんなに人権侵害が繰り返され、人命が奪われても、その責
任が問われず、不処罰が放置される状況が続くならば、パレスチナの地に
おいて人権侵害や虐殺は再び繰り返されることでしょう。そしていくら人
を殺しても何の責任も問われない、何のルールもない状況で、本当の中東
和平など実現することはできません。真相を究明し、人権侵害に責任にあ
る者には適正な処罰が科せられるべきです。国際社会、特に安全保障理事
会は、イスラエルに対して、

● 今回の事態に関して有しているすべての情報を公開すること
● 独立した国際事実調査団を受け入れ、これに完全に協力し、説明責任を
果すことを強く求めていくべきだと思います。そして今回の事態の根源に
ある差し迫った人道危機はこれ以上放置することができない状況にきてい
ます。
● ガザ地区に対する封鎖をただちに解除すること
を国際社会は一致して、イスラエルに求めていくべきです。

 日本政府は、6月1日の安保理の議論では徹底した調査を求めていたのに、
6月2日の人権理事会決議採択にあたっては棄権をするという一貫性のない
態度をとっています。日本政府は周辺諸国の動向に配慮をしすぎており、
プリンシプルを明確にして、この問題に対処しているとはいえないように
思います。日本は欧米とも途上国とも違う立場から、人権問題を解決する
ために公正なイニシアティブを率先してとり、平和に貢献しうる立場にあ
ります。パレスチナにおける封鎖や人権侵害の根絶のために、日本の新政
権が外交上のリーダーシップを発揮することを期待します。
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by nonukusandmd | 2010-06-16 00:10 | イスラエル・パレスチナ関連
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「ミサイル防衛(MD)」や「軍産複合体」の終焉をめざして、動向をウォッチ、反対の声を発信します。在日米軍・日米安保やイスラエル・パレスチナ、チェチェン関連などの動きも一部カバーしています。


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