2010年 05月 04日 ( 1 )


NPT再検討会議の課題を考える

米ニューヨークでNPT(核不拡散条約)再検討会議が始まりました。
ご存知の方も多いと思いますが、この会議の意味と課題を考えるうえで、
『世界』5月号(特集:「核なき世界」への挑戦)は参考になります。

 http://www.iwanami.co.jp/sekai/2010/05/130.html

この特集冒頭に「核廃絶への構想~歴史的好機としての2010年にどう取り
組むか」という論文を寄せている川崎哲さん(ピースボート共同代表)の
「ジャパンタイムズ」(4月20日)への寄稿を併せて紹介しておきます。
オバマ政権の「核態勢見直し(NPR)」や鳩山政権の核政策への率直な
評価とNGOとしての立場が簡潔に述べられています。「昔ながらの冷戦
型思考の安全保障専門家たちの影響力が、とても強い」(川崎さん)のは、
「普天間問題」でも共通でしょう。下に貼り付けましたのでご参照下さい。

 川崎哲のブログ(2010・4・28)
 http://kawasakiakira.at.webry.info/201004/article_7.html

なお、川崎さんたちNGOのニューヨークでの今後の活動内容は、以下の
ブログ等で報告されるそうですので、ご参照ください。

 川崎哲のブログ http://kawasakiakira.at.webry.info (NPT会議の流れ、NGOの動向など)

 「ヒバクシャ地球一周」ブログ http://ameblo.jp/hibakushaglobal 
(ヒバクシャ代表団の動向やドキュメンタリー上映など)

ちなみに、同じ『世界』5月号所収の<ルポ 下北核半島>第5回「軍事化
される半島」(斉藤光政さん執筆)は、地図にない海自秘密基地「下北海
洋観測所」の実態や、むつ市釜臥(かまぶさ)山山頂の大湊分屯基地に建
設中のミサイル防衛用巨大レーダー「FPS-5」(通称「ガメラレーダ
ー」/主契約企業は三菱電機)への反対運動などがルポされており、こち
らも必読の内容です(5月8日頃には6月号:安保特集が発売予定)。

………………………………………………………………………………………

すべての核を禁止せよ (Nuku ban must apply to all)

     川崎哲(ピースボート共同代表)

 オバマ政権は「核態勢見直し(NPR)」と呼ばれる新しい戦略のなか
で、非核保有国に対しては核を使わないと宣言し、注目されている。しか
し、この問題をめぐって日本やオーストラリアを巻き込んで行われてきた
これまでの議論に関わってきたNGOとしては、きわめて不十分と評価せ
ざるをえない。

 すでに1995年に、核不拡散条約(NPT)に加盟している非核保有国に
対しては原則として核を使用しないということを、米国を含む核保有国は
宣言していた。「消極的安全保証」と呼ばれるこのコミットメントに反し
て、ブッシュ政権下では核兵器の役割を大幅に広げる戦略がとられてきた。
オバマ大統領の新戦略は、本質的には、1995年に立ち戻るというものにす
ぎない。

 これよりもさらに進んで、核兵器の役割を核攻撃の抑止という「唯一の
目的」に限定し、生物・化学兵器など核以外の脅威に対しては核の役割を
否定すべきであるという国際的な提言があった。日本とオーストラリアが
主導した「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」(ICNND)は昨年
12月、この「唯一の目的」政策をすべての核保有国に勧告した。しかし、
オバマ新戦略は、これを明確に採択するには至らなかった。

 日本では、もともと核の先制不使用論者として知られる民主党の岡田外
相が、ICNNDの「唯一の目的」勧告を前向きに協議しようと国内外に
表明した。200名を超える日本の国会議員がこれを支持する書簡をオバマ
大統領に出した。ところが、日本の官僚たちは非常に慎重だ。昔ながらの
冷戦型思考の安全保障専門家たちの影響力が、とても強い。米政権内もそ
うであったと伝えられるが、日本でも、軍縮派と現状維持派の攻防がある。
市民社会の願いに反して、政府内では核の現状維持派がきわめて強い力を
もっている。

 こうした抵抗を背景に、日本とオーストラリアの政府が3月に発表した
公式政策パッケージからは「唯一の目的」への言及が削除された。申し合
わせたかのように、4月のアメリカのNPRも、「唯一の目的」の採択を
回避した。

 それでいて彼らは、これから核を持とうという国には容赦ない。オバマ
新戦略によれば、NPTを遵守しない国に対しては核使用もありうるとい
う。イランの核疑惑はたしかに深刻な懸念だが、誰が彼らの「不遵守」を
認定するのか。5核保有国が拒否権を握る国連安保理が、それを公平に認
定できる機関といえるのか。NPTが定めるもう一つの義務、すなわち核
保有国の軍縮義務が守られているかどうかを、誰が認定できるのか。核保
有国に対してきわめて紳士的な日本政府はいま、安保理議長としてイラン
への追加制裁に躍起だ。

 原点に立ち返るべきだ。誰の手によってであれ、核の使用は人類が許容
できない非人道的な結果をもたらす。被爆国の市民はそのことをよく知っ
ている。持つ国に甘く持たない国に厳しいNPTでは、限界がある。核兵
器そのものを非合法化しなければならない。国連の潘基文事務総長は、
「核兵器禁止条約」を議論しようと提唱している。日本の市民社会は、こ
のようなイニシアティブをとる世界のいかなる国や機関とも協力を惜しま
ない。
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by nonukusandmd | 2010-05-04 23:05 | 参考文献・映像
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「ミサイル防衛(MD)」や「軍産複合体」の終焉をめざして、動向をウォッチ、反対の声を発信します。在日米軍・日米安保やイスラエル・パレスチナ、チェチェン関連などの動きも一部カバーしています。


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