【転載】「ロボットよ、殺すな!」(反改憲通信より)

『反改憲運動通信』( http://www.alt-movements.org/han-kaiken/ )2010年12月22日(No.15)号に掲載された
文章を編集部の了解のうえで転載します。注など一部補足あり。

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ロボットよ、殺すな!
 ~変質する戦争と日本の加担を止めるために~

 この世に受けた一度きりの生をロボットにより奪われる。なんと耐え難く、理不尽なことか。
しかし、そうした惨劇は増えこそすれ、減る見通しはない(注1)。
 人類が占有していた戦争は、今やロボットにより分有されるに至った。P・W・シンガーは新
著『ロボット兵士の戦争』(NHK出版/必読!)で、戦争の歴史的変貌を余すところなく描き
出している。米軍の無人機・車両は3万台を超え、軍用ロボット技術は既に40ヶ国以上の国家と
非国家主体に拡散している。軍産複合体にとっての有望市場が拡大している。

 中でも、米無人攻撃機「プレデター」(肉食獣、捕食者)の登場は「21世紀の戦争のやり方を
変えた」と言われる程の衝撃を与えた。戦場から遠く離れた米本国で画像を見ながら遠隔操縦し、
地球の裏側に死と破壊をもたらす。宇宙の軍事化がそれを支える。米空軍の退役将官は、無人シ
ステムとGPS(全地球測位システム)を統合した95年を「魔法の瞬間」と呼ぶ。  
 低コスト化や味方のリスク低下により戦争の敷居が下がることで、「ロボットによる秘密処刑」
が横行することになる。今年、新旧2人の国連人権理事会特別報告者が、相次いでアフガニスタ
ンやパキスタンにおける米軍無人機の空爆を国際人道法に反する戦争犯罪だと批判。「致死力を
持つ攻撃の自動装置化は許されるのか」と無人機攻撃の倫理性や合法性を検討する委員会設置を
要求した。軍用ロボットの「進化」に国際法が追いついていないのだ。

 日本の関わりもじわじわと深化している。六本木の赤坂プレスセンターにある米軍の研究開発
事務所が、ロボットなど最先端の研究現場に触手を伸ばし、資金助成によって研究者を囲い込ん
でいる(朝日新聞連載「アカデミアと軍事」)。日本の科学者の倫理的「融解」が始まっている。
 一方、日米政府は2月、無人偵察・攻撃機の「目」にあたる「画像ジャイロ」(機体に付けた
複数のカメラによる画像を解析し位置を特定)の共同技術研究を始めた(注2)。GPSを補完
するもので、明らかに米軍のロボット戦争への技術的支援である。紛争を助長する武器技術供与
であり、武器輸出三原則に反するにも関わらず、経産省は「武器技術でない」と強弁している。
また防衛省は、米国製無人偵察機「グローバルホーク」導入に向け検討に入るとも報じられてい
る(注3)。新防衛大綱に盛り込まれた「武器の国際共同開発の検討」の流れは、ロボット戦争
への更なる加担に連動しかねない。

 軍民両用技術を厳格に峻別し、軍事利用・転用を拒否することが必要だ。シンガーは「軍用ロ
ボット登場は原爆開発に匹敵する」と強調する。ならば、憲法9条の平和主義に根ざした、新た
な時代の「科学者・市民の社会的責任」論をもって、ロボット戦争に対峙すべきだろう。

(杉原浩司/核とミサイル防衛にNO!キャンペーン)


(注1)米軍無人機「標的情報誤り」で民間人犠牲が急増(2011年1月12日、読売)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110112-OYT1T00169.htm
(注2)2010年2月17日、岡田外相とルース米駐日大使との間で交わされた書簡
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/22/2/0217_03.html
(注3)中国・北朝鮮を監視…無人偵察機の導入検討(2010年12月30日、読売)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20101229-OYT1T00786.htm
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by nonukusandmd | 2011-01-15 16:42 | 参考文献・映像
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「ミサイル防衛(MD)」や「軍産複合体」の終焉をめざして、動向をウォッチ、反対の声を発信します。在日米軍・日米安保やイスラエル・パレスチナ、チェチェン関連などの動きも一部カバーしています。


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