「武器と市民社会」研究会セミナーでの報告レジュメ

2010年8月5日に拓殖大学で開催された「武器と市民社会」研究会セミナー
「徹底討論 武器輸出三原則は緩和すべきか」での杉原の報告レジュメを転
載します。ご参考までに。[転送・転載歓迎]

………………………………… 参考 ……………………………………

◇「武器輸出三原則は緩和すべきか?」 (2010年8月5日 拓殖大学)
   
杉原浩司(核とミサイル防衛にNO!キャンペーン)  

<三原則違反を改め、ローカル化、グローバル化をめざすべし>

1.強まる武器輸出拡大への圧力
・北澤防衛相…「思想信条の話ではなく、生産・技術基盤を確保するため
 の現実的議論を」(6月22日、読売)
・政府・防衛省…新SM3ミサイルの第三国輸出容認(グローバルなミサ
 イル拡散への加担!)へ
「米側の意向に反すると、これからの共同開発は極めて困難に」(防衛省)
※「中国やイスラエル以外の貿易管理体制が整っている友好国に例外的輸
 出へ」(テレビ朝日)
・民主と自民「防衛装備品の民間転用推進」(参院選マニフェスト)で足
 並み…危険な国会
・日本経団連「新大綱に向けた提言」(7月20日)…国際共同研究開発に
 向け個別審査を
・新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会…「国際的な技術革新の
 流れに取り残される」「同盟国との関係深化」理由に「禁輸政策見直し
 を」→「防衛大綱」改定(年末)へ
・米国(軍産学複合体)…第二次アーミテージ報告(07年2月)、新欧州
 MDへの組み込み、「集団的自衛権の行使禁止や武器輸出三原則といっ
 た制約の緩和を」(マイケル・グリーン/7月20日、日経)

2.武器輸出推進の論理は何か
・「産業基盤の維持=軍需部門自体の維持・強化」論
・「技術的な鎖国に=国際共同開発すう勢」論(コスト高論も)
・「軍民転用に意義」論
・「節度のある輸出」=「人道目的」「同盟深化」論
 (「佐藤三原則に帰れ」論)
 →要するに「武器を海外に売って儲けたい」=カネで魂を売り渡す
 →「つまらない国」へ

3.武器輸出三原則の意義
・軍縮イニシアチブの根拠=軍縮をリードする「モラル・ハイグラウンド
(道義的高み)」
…「自分の中にある宝物は、自分では気付かないもの」
(猪口邦子・元国連軍縮大使/04年5月4日、東京新聞)
・戦争加担の拒否、実践的な紛争予防、紛争解決の促進、経済の軍事化の
抑制→三原則は「消極的な平和主義」(3月14日、朝日/石松恒)ではない
・日本政府は三原則を普遍化する努力を怠ってきた

4.破られ続けてきた三原則
・世界最大の「紛争当事国」である米国への武器技術供与、武器輸出=
 戦争犯罪への加担
・アフガニスタン戦争参戦(ISAFに派兵)の欧州諸国なども「紛争当事国」
・「例外」多用による「原則」の骨抜き、建前化(MD、巡視艇供与など)
・民生品の軍事転用の見逃し…「TOYOTA WAR」=チャド内戦、パナソニック
 「タフブック」、ソニー「プレステ3」/「日本のブロードバンド(高速大容量)
 通信技術やデジタル信号処理技術の軍事転用は武器輸出三原則に
 抵触しない」(ウィリアム・シュナイダー)

5.武器輸出拡大に見える危険な政治と安全保障政策
<「法治主義」と「民主主義」なき日本政治>
・反民主的「ブレーン政治」…首相の「私的諮問機関」が防衛大綱改定を
誘導する危険
・「密約」政治の継続…「日米事務レベル協議」という秘密協議による意思
 決定
・日本版「軍産学複合体」の台頭…「戦後レジームからの脱却」狙う
・防衛省主導の政策決定の横行…日本・NATO軍事秘密包括保全協定
 (国会承認不要)締結、リムパック演習の多国間訓練への海自初参加、
 日韓ACSA(物品役務相互提供協定)締結へ
・予算審議の形骸化=立法府の機能不全と判断放棄・枝葉末節のみの
 「事業仕分け」
・議事録作成もなく密室化した政務三役会議
 (半田滋『ドキュメント防衛融解』)
・レビューなき現実追認…せめて米国なみのMD見直しを(SM3への
 技術的批判=『世界』9月号参照)

6.武器輸出三原則の厳守と発展を
・「国是」の転換の際には少なくとも国民投票を組み込むよう制度化を
・非軍事型経済モデルは時代遅れではなく、今こそ進化=深化させるのが
 「リアリズム」
…経済危機による軍縮の流れ(ギリシャとトルコの相互軍縮という先例)
→「最後の保護産業」から軍民転換促進へ(軍事費削減、相互軍縮措置が
 不可欠)
・三原則の厳格化を…「例外」の禁止、汎用品(軍民両用技術)規制の強
 化と公正化、抜け穴を封じ法的安定性高めるために「武器輸出禁止法」
 制定(かつて社会、共産、公明が提唱)を
・三原則の地域(ローカル)化と世界(グローバル)化を
…三原則を強化・拡大し北東アジアの武器貿易制限枠組みへと発展させる
 (GPPAC)
=日本こそ台湾への米国の武器輸出と中国へのEUの武器輸出を止める
 イニシアチブを
…三原則を武器貿易条約(ATT)議論における規制強化・厳格化の先行
 モデルに
…国際連帯税の一環としての「武器取引税」導入に向けたイニシアチブを
…民間軍事会社、無人(ロボット)兵器の法的規制に向けた議論の活性化を

7.さいごに/NHKドラマ『ハゲタカ』と徳之島・伊仙町の大久保明町長
のメッセージ
…「我々技術者も技術が何のために使われているのか、責任を持って感じ
続けなきゃいけないと思う」(ベテラン特級技能士の仲間への問いかけ)
=「社会的責任の時代」へ
…「世界で唯一の被爆国として、新しい軍縮世界を作ってほしいと訴えた。
沖縄は南西諸島を築いてきた同胞だ。基地を分けるのではなく、負担を
 縮小する以外に方法はない」

【参考文献】
「宇宙開発戦争」(ヘレン・カルディコット他、作品社)、「ドキュメント
防衛融解」(半田滋、旬報社)、「社会的責任の時代」(功刀達朗編、
東信堂)、「禁断の科学」(池内了、晶文社)、「季刊 軍縮地球市民」
2006年春号(西田書店)、「武器輸出」(読売新聞大阪社会部、新潮社)、
「兵器大国日本」(前田哲男、徳間書店)、「自衛隊 知られざる変容」
(朝日新聞取材班、朝日新聞社)、「スターバト・マーテル」(篠田節子、
光文社)、「ロボット兵士の戦争」(P・W・シンガー、NHK出版)


▼セミナーの簡単な報告(「武器と市民社会」研究会ブログ)
http://aacs.blog44.fc2.com/blog-entry-38.html
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by nonukusandmd | 2010-08-13 23:34 | 活動記録
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「ミサイル防衛(MD)」や「軍産複合体」の終焉をめざして、動向をウォッチ、反対の声を発信します。在日米軍・日米安保やイスラエル・パレスチナ、チェチェン関連などの動きも一部カバーしています。


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